改正風営法とは?2025年施行の変更点4つと働く人への影響をわかりやすく解説

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改正風営法とは?2025年施行の変更点4つと働く人への影響をわかりやすく解説

改正風営法とは?2025年施行の変更点4つと働く人への影響をわかりやすく解説

改正風営法とは、ホストクラブなどで客に多額の借金を負わせ、その返済のために売春や性風俗店での勤務を求める事案が社会問題になったことを受けて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営適正化法)を一部改正した法律です。2025年5月20日に国会で成立し、5月28日に公布、同年6月28日から施行されました(許可の欠格事由の追加だけは11月28日施行)。主な変更点は4つで、接待飲食営業の遵守事項と禁止行為の追加、性風俗店によるスカウトバックの禁止、無許可営業などへの罰則強化、風俗営業の許可における欠格事由の追加です。 この記事では、成立までの経緯、4つの変更点の中身、そしてホストクラブやキャバクラなどのナイトワークで働く人・これから働こうとする人にとって何が変わったのかを、警察庁や法令の一次情報に基づいて解説します。

もくじ
  1. 1.改正風営法の背景と成立までの経緯
  2. 2.接待飲食営業に追加された遵守事項と禁止行為
  3. 3.性風俗店のスカウトバック禁止
  4. 4.無許可営業などの罰則強化と許可の欠格事由追加
  5. 5.働く人・求職者にとって何が変わったか
  6. 6. 関連の求人情報を見る

改正風営法の背景と成立までの経緯

今回の改正は、悪質なホストクラブをめぐる被害への対策として警察庁が検討を進め、内閣が提出した法案が2025年の通常国会で全会一致により成立したものです。ここでは、改正の背景となった問題、規制の対象となる営業、法案が成立するまでの流れを順に整理します。

なぜ改正が必要だったのか

警察庁の改正法概要によると、背景にあるのは、ホストクラブで遊興や飲食をした女性客が売掛金などの名目で多額の債務を負わされ、ホストや経営者からその支払いのために売春をすることや性風俗店で働くことなどを要求される事案が発生し、社会問題化していたことです。警察庁が設置した検討会の報告書も、入店時の説明と異なる高額な料金の請求や、恋愛感情を利用して高額な注文をさせる行為が見られると指摘し、風営適正化法の改正を含む効果的な対策が望まれるとまとめています。

規制の対象となる営業

新しく追加された遵守事項と禁止行為の対象は、風営適正化法が定める風俗営業のうち、設備を設けて客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業、いわゆる接待飲食営業です。ホストクラブのほか、キャバクラなど接待を伴う店が該当します。一方、スカウトバックの禁止は性風俗店のうち、個室付浴場、個室で異性の客に接触する役務を提供する店、派遣型の営業を営む者が対象です。つまり、どの規定がどの営業に向けられているかは項目ごとに異なります。

検討会から法案提出まで

警察庁は2024年7月に有識者による悪質ホストクラブ対策検討会を設置し、同年12月までに5回の会合を開きました。委員には大学教授や弁護士に加え、飲食業の業界団体である全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会の専務理事も加わり、被害者支援を行うNPOや歌舞伎町の商店街振興組合などからのヒアリングも行われています。2024年12月にまとめられた報告書をもとに法案が作られ、2025年3月7日に国会へ提出されました。

国会での審議と成立

法案は参議院で先に審議され、2025年4月9日の本会議で全会一致で可決されました。続く衆議院でも5月20日の本会議で全会一致で可決され、この日に成立しています。公布は5月28日で、令和7年法律第45号として官報に掲載されました。与野党を問わず賛成したことからも、悪質なホストクラブ問題への対策が急がれていたことがうかがえます。国会の議案情報は衆議院と参議院のウェブサイトで確認できます。

施行日は2段階

改正法の施行日は2段階に分かれています。接待飲食営業の遵守事項と禁止行為の追加、スカウトバックの禁止、無許可営業などへの罰則強化は、公布から1か月後の2025年6月28日に施行されました。風俗営業の許可に関する欠格事由の追加だけは、公布から6か月後の2025年11月28日に施行されています。警察庁は、11月28日までに改正法のすべての規定が施行されたと案内しています。現在はすべて施行済みで、店で働く人にも直接関係するルールとして動いています。

接待飲食営業に追加された遵守事項と禁止行為

改正の1つ目の柱は、ホストクラブなどの接待飲食営業に対する遵守事項と禁止行為の追加です。遵守事項は店を営む風俗営業者が守るべきルールで、違反すると公安委員会の指示や営業停止などの処分の根拠になります。禁止行為は罰則付きで、違反した者は6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

料金についての虚偽説明

遵守事項の1つ目は、料金について事実と異なる説明をしたり、客を誤認させるような説明をしたりすることの禁止です。入店時に安い料金を伝えておきながら会計時に高額な請求をする、料金の仕組みをあいまいに説明して注文させる、といった行為が想定されています。違反した店は、公安委員会による指示や営業停止などの行政処分の対象になり得ます。店で働く人にとっては、料金について正確に説明することが、法律上の遵守事項として明記されたと理解しておくとよいでしょう。

恋愛感情につけ込んだ遊興・飲食の要求

遵守事項の2つ目は、客が接客従業者に恋愛感情などの好意を抱き、相手も同じ気持ちだと誤信していることを知りながら、それにつけ込む行為の禁止です。具体的には、遊興や飲食をしなければ関係が壊れると告げること、あるいは接客従業者が降格や配置転換などの不利益を避けるには客が遊興や飲食をすることが必要不可欠だと告げることで客を困惑させ、遊興や飲食をさせることが規制されます。恋愛感情を利用した営業全般が禁止されたわけではなく、こうした告げ方で困惑させて注文させる行為が対象です。

注文前の飲食提供

遵守事項の3つ目は、客が注文などの意思表示をする前に遊興や飲食の全部または一部を提供することで客を困惑させ、遊興や飲食をさせる行為の禁止です。頼んでいない高額なボトルを先に開けてしまい、断りにくい状況を作って支払わせるような営業が想定されています。今回追加された規定は、注文前の提供によって客を困惑させ、遊興や飲食をさせる行為を規制するものです。この規定も遵守事項であり、違反は公安委員会による行政処分の対象になり得ます。

威迫して注文や支払いをさせる行為

禁止行為の1つ目は、客に注文をさせ、または料金の支払いや財産の預託、支払いのための借入れの返済などをさせる目的で、客を威迫して困惑させることです。こちらは遵守事項と違って刑事罰の対象で、違反した者は6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。店で働く人も、どのような行為が規制の対象になったのかを知っておくことが大切です。

売春や性風俗店勤務の要求

禁止行為の2つ目は、客に対し、威迫または誘惑して、料金の支払いなどのために次の方法で金銭を得るよう要求することです。売春防止法などに違反する行為、対価を受けて不特定の相手と性交類似行為などをすること、個室付浴場や派遣型などの性風俗店で異性の客に接触する役務に従事すること、性行為映像制作物への出演、外国での売春が列挙されています。罰則は威迫の場合と同じく6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。売掛金などの支払いのために、客を威迫したり誘惑したりして性風俗店での勤務などで金銭を得るよう要求する行為が、風営適正化法の罰則の対象として明記されました。

性風俗店のスカウトバック禁止

改正の2つ目の柱は、性風俗店によるスカウトバックの禁止です。スカウトバックとは、スカウトなどから働く人の紹介を受けた性風俗店が、その見返りとして紹介料を支払うことを指します。対象となるのは性風俗店側の支払い行為で、罰則は6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。

スカウトバックとは何か

法律の条文では、個室付浴場、個室で異性の客に接触する役務を提供する店、派遣型の性風俗店を営む者が、異性の客に接触する役務に従事しようとする者の紹介を受けた場合に、紹介した者や第三者に対して紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供すること、または第三者に提供させることを禁止しています。警察庁の概要では、ホストが女性客の性風俗店への紹介をスカウトに依頼し、スカウトが性風俗店に紹介して紹介料を受け取る流れが図示されており、この紹介料の支払いがスカウトバックにあたります。

なぜ禁止されたのか

警察庁の施行通達は、一部の性風俗店において、性交類似行為などの役務を提供する人の紹介を受けた場合に店からスカウトへ対価が支払われることが、その営業における女性の売春を助長するものであることから、これを禁止する規定を整備したと説明しています。ホストクラブの売掛金の返済のために女性客が性風俗店で働かされる構図の中で、スカウトへの紹介料が仲介の動機になっていたことが問題視されたものです。なお警察庁は、ホストクラブなどでの利用料金を返済させるために、人を困惑させて売春をさせたり、性風俗などの有害な業務を紹介したりすることは、売春防止法や職業安定法で禁止されていると案内しています。

対象となる営業と罰則

禁止の名宛人は、店舗型性風俗特殊営業のうち個室付浴場と個室で異性の客に接触する役務を提供する営業、そして無店舗型性風俗特殊営業のうち派遣型の営業を営む者です。ホストクラブやキャバクラなどの接待飲食営業は、この規定の対象ではありません。違反した場合の罰則は、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。警察庁の通達は、改正法の施行前に紹介を受けていた場合でも、施行後に対価を支払えば罪が成立すると注意を促しています。

働く側から見た注意点

この規定が禁止しているのは、対象となる性風俗店を営む者が、働こうとする人の紹介を受けて、紹介者や第三者にその対価を提供する、または提供させる行為です。ナイトワークの求人で「紹介料」「バック」といった名目の金銭が話に出てくる場合は、どの営業への紹介なのか、報酬がどこから出ているのかを確認することが大切です。客に性風俗店を紹介するよう指示されたり、紹介の見返りを提示されたりした場合は、応じる前に警察や弁護士などの専門家へ相談してください。

スカウトの仕事はどう変わるか

改正法が直接禁止したのは性風俗店による紹介料の支払いであり、接待飲食営業への人材紹介を一律に禁止したものではありません。ただし、対象となる性風俗店が紹介の対価を支払うことは罰則付きで禁止されたため、そうした紹介料を前提にした仕組みには関わらないようにする必要があります。スカウトとして働く場合は、どの営業への紹介なのか、報酬の出どころはどこかを確認し、法律に触れる仕組みには関わらないことが自分の身を守ることにつながります。

無許可営業などの罰則強化と許可の欠格事由追加

改正の3つ目と4つ目の柱は、無許可営業などに対する罰則の引上げと、風俗営業の許可における欠格事由の追加です。個人の法定刑は2年以下の拘禁刑・200万円以下の罰金から5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金へ、法人の罰金は200万円以下から3億円以下へ引き上げられました。

罰則が引き上げられた違反

法定刑が引き上げられたのは、風俗営業の無許可営業、許可や承認の不正取得、名義貸し、風俗営業や性風俗店に対する営業停止命令などの処分違反、性風俗店の禁止区域・地域での営業です。いずれも改正前から罰則はありましたが、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金またはその両方だったものが、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方になりました。警察庁の通達は、規制強化を免れるために許可を受けずに接待を行う業態へ移行することが想定されることや、風俗営業が短期間で高額の売上げを得られるため従来の罰則では抑止力が十分でなかったことを理由に挙げています。

名義貸しは改正前から禁止

名義貸しとは、風俗営業の許可を受けた者が自分の名義で他人に風俗営業を営ませることで、風営適正化法第11条により改正前から禁止され、罰則も設けられていました。今回の改正で新たに禁止されたのではなく、その法定刑が無許可営業と同じく5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金へ引き上げられたというのが正確な理解です。求人に書かれた運営者と、許可を受けている者の関係が分からない場合は、店に説明を求めてみてください。

法人への罰金は最大3億円

法人の代表者や従業者が業務に関して無許可営業などの違反行為をした場合、行為者本人が罰せられるのに加えて、法人にも罰金が科される両罰規定があります。この法人に対する罰金の上限が、200万円以下から3億円以下へ引き上げられました。引上げの対象は、無許可営業などを定めた第49条の違反です。

許可の欠格事由の追加

2025年11月28日に施行された部分が、風俗営業の許可に関する欠格事由の追加です。親会社や兄弟会社、子会社が許可を取り消されてから5年を経過していない法人、警察の立入りの後に許可証を返納して処分を逃れた者で返納から5年を経過していない者、暴力的不法行為などを行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を持つ者が、新たに許可を受けられない者として加えられました。処分を受けた店が別法人を作って営業を続けたり、取消し前に許可証を返して逃れたりすることを防ぐための規定です。

行政処分の仕組み

罰則とは別に、法令に違反した風俗営業者は、公安委員会による指示や営業停止、許可の取消しといった行政処分の対象になり得ます。今回追加された遵守事項の違反はこの行政処分の対象になり、禁止行為の違反は刑事罰と行政処分の両方の対象になります。警察庁は都道府県警察に対し、新設された規定も活用してホストクラブをはじめとする接待飲食営業への指導監督を徹底するよう指示しており、改正後は店の営業実態がこれまで以上に問われる状況です。

働く人・求職者にとって何が変わったか

改正風営法は店の経営者だけの問題ではありません。接待飲食営業に追加された禁止行為には罰則が定められているため、黒服やボーイ、キャストとして働く人にとっても、どの行為が規制の対象になったのかを知っておくことが自分を守ることにつながります。ここでは店選びと働き方の観点から確認しておきたい点をまとめます。

罰則付きの禁止行為を知っておく

接待飲食営業に追加された禁止行為は、注文や料金の支払いなどをさせる目的で客を威迫して困惑させること、そして客を威迫または誘惑して、料金の支払いなどのために売春や対象となる性風俗店での勤務などで金銭を得るよう要求することです。これらには6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が定められています。店からの指示であっても、こうした行為に関わるよう求められた場合は応じず、警察や弁護士などの専門家に相談してください。

店選びで確認したいこと

ホストクラブやキャバクラなど、風俗営業に該当する店で働く場合は、その営業に必要な公安委員会の許可を受けているかを確認することが基本です。無許可営業の法定刑は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に引き上げられており、許可を受けずに営業している店は、摘発によって突然営業できなくなるおそれがあります。あわせて、料金の説明を正確に行っているか、注文前に飲食を提供して支払わせるような営業をしていないか、売掛金をどのように扱っているかといった点は、改正後の遵守事項に沿った営業をしているかどうかの目安になります。面接や体験入店の際に営業方針を質問し、答えがあいまいな店は慎重に判断してください。

スカウト経由で仕事を探すときの注意

スカウトを通じて店を紹介される場合、紹介の対象が接待飲食営業であるか、性風俗店であるかで法律上の扱いが大きく異なります。改正法により、対象となる性風俗店が紹介の対価を紹介者などに支払うことは罰則付きで禁止されました。紹介の過程で「バック」や「紹介料」の話が出る、紹介先が説明と違う業態だった、といった場合は、違法な取引に巻き込まれている可能性があります。求人サイトから直接応募する場合も、募集内容と実際の勤務条件、運営者や必要な許可を自分で確認し、トラブルのリスクを減らしましょう。

給与や勤務条件の確認点

改正風営法は給与の額や支払い方法を直接定めるものではありませんが、店の営業方法が法律に沿っているかは働く人の収入の安定に直結します。求人票や面接で、給与の計算方法、売掛金が発生した場合の従業者の負担の有無、罰金やペナルティの有無、勤務時間と休日を具体的に確認してください。高額な債務の負担や、旅券・運転免許証を店に預けるよう求められた場合は、その場で応じず、専門家に相談してください。

困ったときの相談先と本記事の確認日

店から違法な行為を指示された、客への威迫や性風俗店の紹介を求められた、といった場合は、最寄りの警察署または警察相談専用電話の#9110に相談できます。警察庁は、ホストクラブなどにおける被害について、女性相談支援センターの#8778、消費者ホットラインの188、法テラスなどの相談窓口も案内しています。法律を知り、法律に沿って営業している店で働くことが、長くこの仕事を続けるための土台になります。本記事の内容は、2026年9月に警察庁の公表資料、e-Gov法令検索の現行条文、衆議院・参議院の議案情報で確認したものです。